新株予約権って何?ストックオプションって何?

新株予約権、ストックオプションの実務 | 2016年11月9日

今回は、弊社オリジナルの連載特集【新株予約権、ストックオプションの実務】第1回目をお届けいたします。

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まず、タイトルの通り、新株予約権って何?という概要について今回はお話できればと思います。
 
 

新株予約権は、2001年11月の商法改正において導入され、その後、特に従業員等に対する報酬の一環であるストック・オプションとしての利用が活発になり、今に至ります。
 

 
現在は、業績や株価の達成により権利行使可能となる予約権が発行されるなど、インセンティブプランの在り方も多種多様となり、新株予約権の設計も複雑化してきています。このシリーズでは、そんな情勢も踏まえながら数回に分けてお話ししていければと思います。今さら感も否めない部分が少なくありませんが、どうぞお付き合いください。

 

1.新株予約権とは

 
新株予約権とは「株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう」(会社法2条21)と定義されています。新株予約権を手に入れた人は、その会社の株式を、あらかじめ決められた金額で購入することができます(コールオプション)。
 
 
株式保有者は、株主として議決権に参加する権利及び配当を受ける権利があり、また、譲渡を行うことで、売却収入を得ることができます。新株予約権を保有するだけでは株主の権利は持てませんが、その行使により株式の交付を受けることで、株主としての権利を得ることが可能になります。
 
 
新株予約権の保有者は、予め決められた金額(新株予約権発行時の株式の時価であることが多い)で株式を買えるので、将来において会社の株価が上昇した場合、権利行使により株を取得し、その時点の株価で即座に売却するだけで差益を得ることができます。また、株価が下がった場合は権利行使をしなければよいだけなので、追加的に無駄な資金が流出するリスクも無く、良いところどりです。
 
 
ただし、新株予約権は株式ではないものの、潜在的に株式になりうるものとして、その発行には既存の株主の権利保護のため、様々な要件が定義されており、募集事項の決定には株主総会等の機関の決議が必要となるなど、安易に発行できません。
 

 

また、新株予約権を行使することができる期間が無限に続くと、既存株主の地位を不安定にさせることにつながりかねないことから、期間を定めることが法律で要件づけられています(詳細は後の回にて)。
 
 
新株予約権を発行する際は、新株予約権自体の公正価値(一般的に、第三者評価により決定するもの)による金銭の払い込みを求める方法(有償)と、無償で割り当てる方法のいずれも選択することが可能であり、無償割当てが行われることも多々あります。有償か無償かについては、発行の目的、既存株主への配慮、税務リスク、会計処理などを考慮の上、各企業が決定します。
 

2.ストック・オプションとは

 

新株予約権のうち、企業が従業員等(役員を含む)に報酬として付与するものを、ストック・オプションといいます。つまり、ストック・オプションとは新株予約権と別個のものでなく、新株予約権に含まれるものということなります。

 

 
ストック・オプションは従業員等へのインセンティブプランとして付与される場合が多いため、各自が権利行使をするためには、勤務条件や業績条件等をクリアしなければならないといった条件が付加されていることが一般的です。
 

 

上場会社及び上場準備会社においては、業績が伸び株価が上昇すれば、ストック・オプション行使による各自の株式売却収入の増加につながるため、会社の業績の向上そのまま従業員等にとってのインセンティブとなり、従業員等の勤務意欲の改善につながります。
 
 
しかしながら、株価が権利行使価格を下回った場合、行使を行うインセンティブが生じないことから、従業員等の勤務意欲の向上につながらない場合があります。また、行使が相次ぐと、1株当たりの利益が減少しますので、株価が下落する可能性もあります。
 

3.新株予約権付社債(新株予約権関連の資金調達手段)

 
新株予約権の発行のみでは会社はまとまった資金調達を行えないことから、新株予約権を付加した資金調達手法を用いることがあります。その代表的な例として、新株予約権付社債が挙げられます。
 

 
新株予約権付社債は、その名の通り、「新株予約権を付した社債をいう」(会社法2条22)と定義されており、新株予約権と社債を組み合わせたものとなっています。社債が負債であるのに対し、新株予約権は行使により株式が交付されることで、資本に振り替えられることから、新株予約権付社債は双方の特徴を持つものとなっています。
 

 
新株予約権の行使時には、社債の価額をもって払込を行う(代用払込み)ことが認められる場合と、認められない場合の双方があります。

 

4.おわりに

 

新株予約権はストック・オプションとしてなじみが多いかもしれませんが、法令等の改正によりさまざまな種類の新株予約権が登場しており、また、利用される場面も多様化しています。
しかしながら、既存株主の利益と相反する可能性もあることから、その利用にあたっては、慎重な検討が求められます。
また、資本と負債の中間的な性格を持つことから、法令上の取扱いや会計処理についても特殊な取扱いが求められる場合があります。
 
 
初回はイントロダクションとして、簡単な概要解説のみとしましたが、次回以降もう少し深堀していければと思います。
以下目次ですので、ご参照いただければと思います。

 

第1回 新株予約権って何?ストックオプションって何?(今回)
第2回 新株予約権を導入する意義(メリット・デメリット)
第3回 新株予約権を発行する際の会社法上の手続きの留意点
第4回 新株予約権を発行する際の金商法上の手続きの留意点
第5回 ストックオプションに関する解説
第6回 新株予約権の税務上の留意点
第7回 新株予約権の会計処理
第8回 新株予約権の評価方法 

 

 

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