退職給付会計の概要、退職給付制度の概要について(退職給付会計①)

退職給付会計の解説 | 2013年4月1日

今回は、弊社オリジナルの連載特集【退職給付会計の解説】第1回目をお届けいたします。

 

 

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この連載は、退職給付会計の解説を行うことを目的としたものですが、そのためには、まずはじめに、退職給付会計とは何なのか、退職給付制度にはどのようなものがあるのか、といった概要について、簡潔にご理解いただければと思います。

 

 

1.はじめに
平成24年5月に「退職給付に関する会計基準(企業会計基準26号)」が公表されました。3月決算会社で平成26年3月期から導入されることになるこの新基準においては、連結開示を中心に大幅な改正が行われ、未認識数理債務の負債計上や、IFRSとのコンバージェンスに伴う退職給付債務及び勤務費用の計算方法の変更、開示の拡充などが行われる予定です。また、最近の年金資産の運用を巡る不祥事の発生を受けて、年金資産の運用についても今後、監査の厳格化や開示の拡充の義務化が予想されます。今回は退職給付制度の概要を中心に解説を行います。

 

 

2.退職給付会計の概要
日本においては、厚生年金保険法により従業員の年金保険費用のうちの半額を企業が負担する義務があります。従業員の勤続期間に応じて、退職一時金及び年金の支払義務が企業に生じるため、企業は勤続期間に応じて負債を認識し、一方で従業員の退職後の年金の支払に備えて予め年金資産を積み立てることが求められます。従業員の退職後の要給付額は退職給付債務、それに対して積み立てられる資産は年金資産となります。その結果、退職給付債務が年金資産の積立額を上回っている場合は負債、逆に年金資産の積立額が退職給付債務を上回っている場合は資産として、貸借対照表に計上することが求められます。

 

 

3.退職給付制度の種類
退職給付制度の種類としては確定給付型年金制度と確定拠出型年金制度の2つに大きく分けることができます。

 

 

① 確定給付型企業年金
確定給付型企業年金は、その名の通り、給付額が確定しており、従業員にとっては老後の計画が立てやすくなりますが、企業にとっては積み立てた年金資産の運用が当初の想定を下回った場合に追加拠出が必要となるリスクが生じます。確定給付型企業年金は日本においてはもっとも一般的な退職給付制度ですが、長年の景気の低迷を受けた株価の下落などにより運用成績が低迷し、年金資産の積立不足が生じる例が増加しています。確定給付型企業年金の種類は、運用形態別に、厚生年金基金、規約型企業年金、基金型企業年金の大きく3つに分かれます。

 

 

a)厚生年金基金
厚生年金基金制度は、企業が従業員に対する福利厚生の一環として、企業独自に厚生年金に上乗せして給付を行うことを目的に厚生年金基金を設立します。厚生年金基金では国に代わり厚生年金の一部を代行して運用することも可能です。近年、株価の低迷を背景に、財政難に陥った厚生年金基金が解散する例が相次いでおり、政府において制度の廃止も含めた検討が行われています。

 

 

b)規約型企業年金
規約型企業年金では、労使が合意した年金規約に基づき、企業と信託会社・生命保険会社等の外部機関が契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行います。受託した外部機関は株式や債券により年金資産の運用を行います。

 

 

c)基金型企業年金
基金型企業年金では、母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において年金資金を管理・運用し、年金給付を行います。また、基金自らが運用を行う自家運用も可能となっています。厚生年金基金とは異なり、国に代わり厚生年金の一部を代行運用することはありません。また、単独の企業だけではなく、複数の企業が合同で基金を設立することも可能です。

 

 

② 確定拠出型年金(日本版401k)
確定拠出型年金は最初の拠出額が決められており、従業員は自分で年金資産の運用方法を決定します。このため、運用結果次第で年金の給付額が変動することになります。確定拠出型年金制度は日本では平成13年4月から導入されており、企業にとっては負担額が最初に決まっているというメリットがあることから、今後も増加が予想されます。

 

 

③ その他の仕組み
従来、確定拠出型年金制度として、税制適格年金制度がありましたが、平成24年3月をもって廃止されています。また、中小企業向けの退職金制度として中小企業退職金共済法に基づく中退共制度があります。

 

 

4.退職給付会計の概要
この連載では退職給付会計について、「退職給付に関する会計基準」の解説を中心に行います。「退職給付に関する会計基準」の概要は以下の通りです。

 

 

・退職給付債務及び年金資産等の計算手法
・割引率・期待運用収益率・その他基礎率の決定方法
・過去勤務債務・数理計算上の差異・会計基準変更差異の処理方法
・複数事業主による運用・簡便法・会計基準変更時差異の対応
・特殊な手法
・開示の方法

 

 

今後は以上に沿って、最新のトピックも織り込んで解説を行ってまいります。

 

 

【関連記事】

 

第1回目:退職給付会計の概要、退職給付制度の概要について(退職給付会計①)(今回)

第2回目:退職給付債務及び年金資産について(退職給付会計②)
第3回目:退職給付債務の算定方法(退職給付見込額の期間帰属額の計算方法、割引率、長期期待運用収益率、その他の基礎率)(退職給付会計③)
第4回目:数理計算上の差異・過去勤務費用・会計基準変更時差異(退職給付会計④)
第5回目:年金資産の解説(退職給付会計⑤)
第6回目:複数事業主制度と簡便法についての解説(退職給付会計⑥)

第7回目:退職給付の開示について(退職給付会計⑦)

 

 

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