コンサルタントやツールの活用法(J-SOX対応実務⑦)

内部統制報告制度(J-SOX)対応の実務 | 2013年2月8日

今回は、弊社オリジナルの連載特集【内部統制報告制度(J-SOX)対応の実務】第10回目をお届けいたします。

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今回は手前みそ的なお話かもしれませんが、コンサルタントやツールの利用についてです。なお、上場会社のほとんどはJ-SOX対応が日常業務になっており、今さらコンサルタントやツールの利用について考える必要はないかもしれません。そのため、今回は、どちらかというとこれからJ-SOX対応を行う上場準備会社や、J-SOX効率化を行いたい会社向けのコンテンツとなるかもしれません。なお、内容がら、いつもに比べ少しフランクなお話となるかもしれませんが、お付き合いいただければと思います。

 

 

1. コンサツタントやツールへの期待

 

 

J-SOX対応をしていく上で、ツールは利用すべきだろうか。コンサルタントは必要なのか。そもそもコンサルタントは何をしてくれるのだろうか。ツールはどのようなものがあるだろうか。また、それらはどれくらいの費用が掛かるのだろうか・・・

 

 

特にこれからJ-SOX対応をされる方や、J-SOX対応を改める方にとって、進め方の不安や疑問は尽きないと思います。今回はコンサルタントとしての立場から、ツールやコンサルタントの活用法を述べさせていただきます。

 

 

まず、ツールとコンサルタントは利用すべきでしょうか。

 

 

あくまで筆者の考えですが、ツールは何でもよいですが、(コンサルタントが持っているツール、監査法人が持っているツール、エクセル、システムこだわりない)絶対利用すべき、コンサルタントは費用対効果を考慮し、できれば利用すべき、だと考えます。

 

 

ツールは、監査法人が提供するものを利用するのがよいでしょう。というのも、最終的にJ-SOX対応のゴールは監査法人からお墨付きをもらうことですので、監査法人が提供するツールは有用でしょう。

 

 

ただし、監査法人が提供するツールは非常に細かい作りになっており、その要求をすべて満たそうとするととても対応が大変となるので、できればコンサルタントの意見を聞きながらやるべきことを取捨選択し、効率的に進めることが望ましいでしょう。

 

 

余談ですが、筆者がコンサルティングを実施する際は、担当の監査法人がツールを開発している場合、当該ツールを利用します(なお、ツールを開発していない監査法人も多数ありますので、その場合は独自のツールを利用します)。その上で、必要な個所、不要な個所を取捨選択し、効率的に進めることを心がけています。

 

 

では、なぜコンサルタントやツールが必要なのでしょうか。ズバリ「制度対応を完遂」するためです。

 

 

そもそも、J-SOX対応には、①制度をきちんと理解しているブレインがいること、②当該ブレインの指示を受けて、きちんと文書化等の作業を行う作業者を確保できること、が必須となります。

 

 

コンサルタントはブレインになることが期待されますが、作業者にもなることができます。もちろん、会社が独自でブレインも作業者も確保できる場合、「制度対応を完遂」する、ために、コンサルタントを利用する必要はないでしょう。

 

 

一方、ツールはブレインにとっては、「手引き」として有用ですし、また、作業者にとっては基本フォームや記載例等の利用により、作業の省力化が可能となります。なので利用は必須です。

 

 

では、ブレインが存在し、作業者も十分である会社は、コンサルタントを利用しない方がよいでしょうか。

 

 

筆者はそれでもコンサルタントを利用する価値はあると考えます。その理由は「無駄を排除」するためです。

 

 

J-SOXは最初の制度対応を行ったらそこで終わり、というものではありません。今後制度が続く限り、毎年評価を行う必要があります。また、J-SOXで整備・評価の対象とした内部統制は、組織内で継続的に運用されなければなりません(実態が伴わなければ意味がない)。

 

 

ということは、初期段階で、いかに無理なく無駄なく制度対応をするかが非常に重要なポイントとなるのです。そして、ここがコンサルタントのひとつの腕の見せ所となります。実務でよく見受けられるのが、何とか自社のリソースで対応したものの、過剰な制度対応の結果もたらされた分厚い文書化資料(作成者以外誰も理解できない)、無駄なキーコントロール(内部統制)の設定、無駄な評価資料の収集、そのための多数の人員確保(内部監査人やチェック担当者、資料収集のための作業者等)・・・

 

 

コンサルタントが関与した会社であっても、無駄が多いと感じることがあります。自社リソースのみで対応された会社の場合、無駄な制度対応が含まれているケースがほとんどです。

 

 

手を抜きすぎると制度対応が失敗しますが、きっちりやりすぎると自社の資源を疲弊させることになります。このバランスを図る上でコンサルタントの利用が有用となるでしょう。できれば、監査法人でJ-SOX監査を責任ある立場で複数社行った経験がある方を、ブレインコンサルタントとして採用することをお勧めします(どこまでやればよいか、やらなくてよいポイントはどこかを熟知していると期待できるため)。

 

 

2. コンサルタントの関与の方法

 

 

コンサルタントの関与の方法は大きく3パターンあります。

 

 

①  ブレインとしてアドバイザリー関与 ②  文書化等の作業者として関与 ③  ①と②を合わせて関与

 

 

貴社の人員の状況や予算の都合から上記3パターンを取捨選択し、コンサルタントの関与度合いを決定しましょう。コンサルタントに貴社の状況を説明すれば、どのような関与が望ましいかアドバイスをしてくれるはずです。まずは相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

余談ですが、コンサルタントへの支払いが一番安く済むのは①です。ただし、自社で作業者を確保しなければならない等、トータルコストは上がるかもしれません。

 

 

将来に渡り制度対応をしなければならないので、ノウハウを自社に保有したい、従業員が辞めてしまったらノウハウがなくなってしまうので、できれば社外バックアップとしてコンサルタントにノウハウを共有しておいてもらいたい等、会社によって様々なニーズがあるでしょう。

 

 

それと同時に月の予算はいくらまで、という縛りもきっとあるかと思います。その辺のバランスをうまく図れるコンサルタントとJ-SOXの対応を進められたら何よりだと思います。

 

 

因みに、現在のコンサルタントの相場は、、、

 

 

正直何とも言いにくい次第です。完全にコンサルタントの言い値なのです。1時間当たり1万円程度というコンサルタントもいますし、1時間当たり5万円程度というコンサルタントもいるでしょう。

 

 

J-SOX導入時期には1時間当たり3万円程度が最低水準だった気がします。ただ、現在はニーズが減ってきているので、相場も下がってきている実感があります。ともわれ「時間 × 単価」で報酬額が決定されます。つまり、作業のボリュームが増えれば増えるほど報酬額が上がるということです。

 

 

報酬額を固定化させるために、プロジェクトの作業分担を明確化したうえで、総額いくら、といった契約にするのが良いかもしれません。

 

 

いずれにせよ、利用する、しないの意思決定をする前に、一度何人かのコンサルタントに相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

本稿が貴社のコンサルタント選びに少しでも貢献できれば何よりです。(弊社も検討対象の一社として是非ご検討ください(笑))

 

 

では、今回はこの辺で失礼いたします。お読みいただきありがとうございました。

 

 

第1回 内部統制報告制度(J-SOX)って何?

第2回 そもそも“内部統制”って何?

第3回 我が国の法律で求められている“内部統制”

第4回 J-SOX全体像(J-SOX対応実務①)

第5回 全社的内部統制のポイント(J-SOX対応実務②)

第6回 決算財務報告統制のポイント(J-SOX対応実務③)

第7回 業務処理統制のポイント(J-SOX対応実務④)

第8回 RCM(リスクコントロールマトリクス)の作成方法(J-SOX対応実務⑤)

第9回 整備状況の評価方法(J-SOX対応実務⑥)

第10回 コンサルタントやツールの活用法(J-SOX対応実務⑦)(今回)

第11回 監査法人が行う内部統制監査への対応(J-SOX対応実務⑧)

第12回 運用状況の評価方法(J-SOX対応実務⑨)

第13回 サンプル抽出についての留意点(J-SOX対応実務⑩)

第14回 開示すべき重要な不備について(J-SOX対応実務⑪)

第15回 不備金額の集計方法(J-SOX対応実務⑫)

第16回 経営者による内部統制報告書の作成方法(J-SOX対応実務⑬)

 

 

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